わたしたちのラボのはなし

SHIGETAの製品は、パリ19区にある小さな自社研究所で製品の研究をし、小さな自社工場で製造をしています。

わたしたちの様な小さなブランドで、一貫して自社で全ての工程を行っているところは、そう多くはないと思います。そもそも、どうして私たちがラボを作ったのか、というお話を今回は書いてみたいと思います。

SHIGETAは2006年にエッセンシャルオイルのブレンドやフローラルウォーターを使ってセルフケアを伝えるところから始まりました。

私自身がパリでセラピストとして多くの方々のケアに携わりながら、みなさんの10大お悩みを解決するために作った10種類のブレンドオイルをおすそ分けするところからスタートしたのです。

その当時、セルフケアを伝える難しさをひしひしと感じ、「エッセンシャルオイルよりももう少し、みなさんが日常に使える製品と一緒にセルフケアを伝えていったらどうだろうか?」と、どのお家のバスルームにも置いてあるような、もっと身近な製品を通してセルフケアを伝えようと思ったのです。

そこで、オーガニック製品のフォーミュラ(レシピ)を作っているいくつかの研究所の戸を叩き、2年の間試作を重ねてみたものの、なかなか思い通りのものに辿り着くことができませんでした。

その中でもどかしかったことは「なぜ希望通りにいかないのか」が分かりにくいことでした。

請け負いラボの中には、元々自社で抱えているレシピを少し改良して試作品を作るところが少なくなく、イノべーティブなことはやりにくいのです。

そこで共同経営者である夫は「ラボを立ち上げるってどう思う?それなら、君も納得行くまでフォーミュラの研究を続けられるよ」と提案して来たのです。

私は、そのようなことは露程にも想像していなかったので、心の底から驚きましたが、自分自身が本当に納得するものを、「絶対良いよ!」と手渡したい!と思っていたので、その可能性をリサーチし始めました。

フランスは当時からすでに、サイエンスとテクノロジーの研究開発に力を入れており、多くの若い企業のサポートをしていました。

私たちが提案していた「驚きのあるオーガニック」製品作りをするプロジェクトは、その対象と承認され、さまざまなサポートをいただきました。

さて、次にラボの場所探しです。

当時(今もかもしれませんが)パリ市では、メイドインパリの製造業が減少し続け、市外に移っていくことを懸念していました。

そのため、パリ市内で「製造業」を支援する市営の建物を所有し、これもプロジェクトが良ければ入れてもらえる、特殊な建物があります。

ここでも、私たちのプロジェクトが承認されて、入居が可能になりました。

フランスのサポートにより、トップの熟練コンサルタントの皆さんが、私たちの会社のサイズにあったラボ作りを親身になって応援してくださったいました。

若いクリエイティブなラボの研究者たちに、豊かな経験と知識を持って、フォーミュラ作りのサポートを至近距離で付き添っていただく、そんなフランスならではのラボ作りが可能になったのです。

私たちは、ラボを立ち上げた2010年からグリーンテクノロジーの挑戦を続け、今もなお、いいえ、今は社会の流れと共にますます勢いを増しています。

熟練の研究者の先生は、「グリーンテクノロジーを駆使したフォーミュラ作りは2011年以降にコスメティックサイエンスを学んだ人たちでないと難しい。。。」と仰っていました。

それは「これからの化粧品作りが、どれだけ既存の概念と違う基本が必要なのか」を象徴するような言葉でした。

私たちの若いラボのチームとの冒険はまだ続きます。これからも誰にもしわ寄せの来ない、それでいて驚きのあるオーガニック製品作りに取り組んで行きたいと思っています。

 

CHICO SHIGETA